田舎で働く社長のブログ---都会に移転しました---

会社を2015年に作りました。会社や個人をPRするというよりはアウトプットの場にしたいです。

~ネタばれほぼ無し~ 伊坂幸太郎『AX アックス』を読んでの感想。

伊坂幸太郎は僕が一番好きな小説家です。

伊坂作品の特徴と言えば伏線の回収なども挙げられますがなんと言っても『読後の清涼感』、これに尽きるののではないでしょうか。

 

『AX アックス』という作品はグラスホッパーマリアビートルに続く殺し屋シリーズの第三弾。主人公は殺し屋ですし、人もたくさん死にます。いろんな衝撃がありますが読後には非常に心地良い清涼感が残ります。

 

伊坂作品は初期こそ完全に勧善懲悪でしたが、最近はそうでもないです。ゴールデンスランバーやモダンタイムのように、勝てるはずもない巨大な権力と対峙し、負けてしまい逃げる話が多いです。ただ、逃げると言う選択肢も間違っていない、無理なら逃げれば良いんだというメッセージが感じられます。

例えばいじめとか、パワハラとか、そういったものから逃げられず苦しんでいる人がたくさんいます。そういう人たちに対して、もう働かなくても良いし顔でも整形してどっか行っちゃおうぜ♪というのが伊坂作品です。

少しネットでバズッた以下の漫画と近いですね。

shinya-sheep.hatenablog.com

 

 

作中の主人公・兜は奥さんに対して病的なくらい気を遣います。モダンタイムスでも怖い奥さんが出ていたので伊坂幸太郎の奥さんはきっと怖い人なんだと思います(笑)

ただ、モダンタイムスでもAXでも主人公は奥さんのことを愛しているので読んでいて非常に楽しいです。

ミステリー小説は面白いですが、例えば湊かなえさんの作品は読後に強烈なインパクトとともに不快感が残ります。そういう小説はあまり好きではないです。

うろ覚えですが爆笑問題太田光さんがヒレハレ草という本の中で、『舞台の上で動物を殺す芸術家が話題になっている。確かにインパクトは残るだろうがそれは動物の死に対してのインパクトであって芸術家の作品へのインパクトではない』というようなことを書いていました。これは非常にその通りだと思います。僕も読みましたし映画も見たバトルロワイヤルなんかはまさにその典型で、要するに人がたくさん死ぬというインパクトが作品の中心になってしまいます(映画も小説も面白かったし2も見ましたがw)。

最近の漫画も、やたら世紀末系のもの、仲間同士で殺し合いをするものが多くて少しうんざりしてしまいます。

Mr.ChildrenのHEROという歌の中で

駄目な映画を盛り上げるために

簡単に命が捨てられていく

違う僕らが見ていたいのは

希望に満ちた光だ

という歌詞があります。僕は小説や映画にもこういう要素を盛り込んで欲しいと思います。戦争などのドキュメンタリーは当然必要です。ただ、フィクションの世界くらい気持ち良いものを見させて欲しいなと思ってしまいます。

 

最後に少し作品の内容を書かせてもらうと、グラスホッパーやマリアビートルに出てくるキャラクターはほとんど登場しません。伏線の回収という意味でも伊坂作品好きなら簡単に読めてしまうものなので特別良い作品とは言えないかも知れません。ただ僕にも主人公の息子の子供(理由あって孫とは敢えて書きませんが)と同じ年の子供がいるという点、妻に必要以上に気を遣っている点(笑)からか、非常にいろいろな気持ちに共感ができ素晴らしい作品でした。

 

 

伊坂作品を読んだことがない人も一度読んで欲しいなと思う小説です。

AX アックス (角川書店単行本)
 

 

 

では。